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   繋ぐ絆

---------------------------------- 言葉でつなぐ、拳でつながる。世代を越えて響き合う想い -------------------------------

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このページでは、現役とOB・OGによる対談、現役間の対談、OB/OG間の対談など、

                     同世代や世代を超えた交流のひとときをご紹介してまいります。
                     在部当時の思い出、部への想い、そしてこれからの拳法部に託す願い――。
                     語り合うことで見えてくる、それぞれの歩みと共通の志が、静かに、そして確かに未来を照らします。
                    懐かしさと新しさが交差するこの場所で、鹿大少林寺拳法部の「今」をともに感じていただければ幸いです。

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​第一回目     末松竜馬君に聞く、部再建のうらばなし            

聞き手:OB会(仮称)設立準備委員会事務局担当 岩田(S43入学)

ランニングする2人

岩田:本日は、鹿児島大学少林寺拳法部(以下、鹿大拳法部)OB会設立に向けた企画として、オンライン(鹿児  島~東京)による特別対談をお届けします。進行はOB会設立準備委員会事務局の岩田、対談相手は、部の再興に尽力するとともに、2023年秋、日本武道館で開催された全国学生少林寺拳法大会で単独演武の部・第1位に輝いた末松竜馬君です。末松君のこれまでの歩みや思いを伺いつつ、OB会の果たすべき役割についても一緒に考えていきます。どうぞよろしくお願いします。

 

岩田:末松君、今春から大学院に進学され、学会発表などでお忙しい中、時間を割いていただきありがとうございます。また、OB会設立へのご賛同、準備段階でのご協力にもあらためて感謝します。まずは、鹿大拳法部に入部された当時の状況からお聞かせください。

 

末松:はい。私が鹿大拳法部に入ったのは2021年です。当時の部員は4~5名ほど。体験に行った日も、時間になっても部員がなかなか揃わず、「新入生が来てくれたので、基本練習をしましょうか」といった雰囲気でした。私は小学生の頃から福岡県の道院で練習しており、当時通っていた道場はやる気に満ちた先輩が多く、練習もハードだったので、かなり拍子抜けしたのを覚えています。

 

岩田:そうでしたか。その時、どう考えたのですか。鹿児島のスポーツ誌のインタビューで「伝統ある鹿大拳法部がこのままではいけないと思い、奮起した」との発言も拝見しましたが。

末松:それは、3年生になる前に主将に決まった時の心境です。1年から2年の中頃までは、特段やる気が高かったわけではありません。練習は週2回のはずでしたが、先輩方の出席状況によっては、実際には月に数回しかできない時期もあり、モチベーションが下がっていました。ただ、子どもの頃から拳法を教えてくれた父(立命館大学少林寺拳法部OB)や、福岡の道場の先輩方から「大学に入っても続けなさい」と言われていましたので、自分なりに練習は続けていました。そんな中、1年の冬から2年にかけて部員の出入りがあり、私と同じく幼少期から道場に通っていた後輩の松元君が入部。2年の終わりに次期主将が自分に決まり、松元君と「鹿大拳法部をもっと大きくしよう」と話し合い、新入生歓迎の時期(4月)に合わせて、当時のメンバー(約5名)でしっかり立て直していく方針を固めました。

岩田:その新歓について伺います。私たちの頃は生協前の広場でデモ演武をしたり、興味のありそうな新入生にパンフレットを配って勧誘する程度でしたが、最近は随分変わってきたようですね。準備は2月頃から始められたとのこと。工夫した点は?

末松:はい。部員も資金も道具も不足していたので、「時間」をかけて勝負すると決めました。多くの団体は3〜4月に準備を始めますが、私たちは2月から動き出しました。まずSNS運営に力を入れました。活動報告だけではなく、日常や練習風景を発信して、部の空気感や人柄が伝わるように工夫しました。また、入学前から大学に来る新入生も多いので、立て看板は早期に設置。昼休みには人通りの多い場所を確保して立ち続け、まずは顔と名前を覚えてもらうことを狙いました。また、所属していた九州学生連盟の副委員長に就任し、他大学の新歓事例やノウハウを勉強し、部に反映させました。新入生を招いて行う体験会では技の実演に加えて、手作りした道具を使って様々なレクリエーションを行ったり、私の想いを共有したりしました。特に「楽しい!やってみたい!」「一緒に1から部を作っていきたい」と思ってもらえる構成にしました。

岩田:なるほど。今のInstagramの活用は、末松君たちが最初に発案されたのですか。あのアカウントはとても良くできていると思います。私が皆さんの活躍を知ったのも、偶然その投稿が目に留まったのがきっかけでした。ネット社会のいま、見せ方は本当に重要ですね。

 ここで一つ個人的に伺いたいことがあります。単独演武で日本一を獲るのは生半可ではない、極めて難しいことだと思います。末松君は中学時代にも全国大会の単独演武の部で優勝していますよね。珍しいケースだと思いますが、その背景は何でしょう。幼少期から身近に少林寺拳法があり、お父さんから基礎を徹底して教わったことが大きいのでしょうか。

末松:はい、その影響は大きいです。突き・蹴りの基礎や体の使い方といった基本を小さい頃から教わったことが土台になりました。大学に入ってからは技術だけでなく、演武の構成や見せ方も研究しました。歴代優勝者の動画を分析し、どこをどう見せるかを工夫しましたし、明治・早稲田・日本体育大学など関東の強豪の動向も常に意識していました。同時に、幼少期から積み重ねてきた基礎練習は途切れさせないようにしてきました。

 

岩田:日本一に、最初からなれると思っていたのですか。

末松:うーん、出場する前から1位になれるつもりでいたということはありませんが、もちろん1位を取るつもりで練習は行っていました。歴代優勝者やライバル校の動画を繰り返し見て研究しました。技の巧みさだけでなく、「どう伝わるか」を重視しました。そのために基礎練習を徹底して行いました。単独演武は1人での戦いであることがメリットでもあり、デメリットでもあります。克己心をもって授業やアルバイト終わりに基本練習を行いました。また、技の理解度を深めるために本部講師の先生方の技術解説動画や、技を図説した本を使い、技の精度に拘りました。また、技の巧さだけでなく、「どう伝えるか」も研究しました。歴代優勝者やライバル校の動画を繰り返し見て研究しました。自力で練習するしかない環境でしたから、編集ソフトを使い自分の動きを他の人の動きと重ねて違う部分を探したり、試したい動きがあれば夜中の1時2時でも道場に足を運んだりすることもありました。日本一になるには何が必要かを、できる限り分析し尽くしたつもりです。

岩田:なるほど。まさに「取るべくして取った」日本一だったわけですね。それで、日本一になった瞬間、どんな気持ちになりましたか。

末松:誇らしい気持ちになりました。楽しいだけの部活ではなく、実力もある部活にしたいという気持ちがありましたから、後輩が入ってきて口だけの指導者になりたくないなあと思っていました。有言実行出来る形、考える最高の形でそれを達成出来た。後輩に実力で示すことが出来たという誇らしい気持ちでした。

岩田:わかりました。さて、話を部の現状に戻します。現在の鹿大拳法部の雰囲気をどう捉えていますか。

末松:主将就任当初の最大目標は部員を増やすことでした。そのうえで先ほど述べたように「楽しい雰囲気を保ちながら結果を出す」メリハリのある部活を目指しました。その点はおおむね達成できたと思いますが、最近は楽しさを優先する風潮が目につく場面もあり、厳しさが少し足りないと感じることがあります。メンバーの多様化も影響しているのかもしれません。

岩田:私も同じような印象を持ちました。Instagramに、楽しそうに蹴りをしている女子部員の動画があり、かつての「拳法部時代」の風景とは様変わりだと感じました。当時は練習が厳しく、質実剛健が是。毎日、鍛錬の時間があり、腹筋や腕立て伏せでまず体を作る文化でした。夏合宿は特に厳しく、必死に乗り切るというムードがあり、そうした厳しさを耐え抜いたことは今となっては誇りであり郷愁でもあります。現在の少林寺拳法部はなごやかで楽しい雰囲気で、それ自体は良いことですが、往時のイメージを持つ先輩方の中には戸惑いもあるかもしれません。そのギャップをどう橋渡しするか――OB会設立にあたっての課題の一つでしょう。ところで、現在の稽古日は何曜日で、時間はどのようになっていますか。

末松:現在は週2回、月曜と金曜の18:30~21:00に練習しています。大会前は週3の正規練習がありますが、各自空き時間で練習を行い、夜遅くまで個人練習をする場合もあります。

岩田:やはりそうでしょう。週2回だけでは日本一は難しいですからね。さて、末松君が卒業された後、技術の継承は大丈夫でしょうか。

末松:少林寺拳法の技そのものについては心配していません。西園先生(鹿大OB・監督)をはじめ、県内には高段者の先生方がいらっしゃり、ご支援をいただいています。演武や運用法に特化した技術は年代や地域によって違いがありますので、大会に向けたノウハウに関してはやや不安が残りますが、現在の後輩の中には大会で上位入賞する学生もおり、彼ら彼女らを筆頭に頑張ってくれると期待しています。

岩田:それは心強いですね。最近は鹿児島でも、高校で少林寺拳法に取り組む生徒が増えていて、裾野が広がっていますね。

末松:そうですね。高校時代から続けている学生が、鹿大拳法部に入部してくれると嬉しいです。

岩田:では「OB会の意義と未来」について伺います。あなたの活躍とご苦労を知って、私たちも何か支援できないかという声が上がり、今回、OB会設立が動き始めました。OB/OGの現役部員への理想的な関わり方とは何でしょう。OB会に何を期待しますか。

末松:現役としては、先輩方の拳法部に対する想いや当時の様子を知ることが、部をつくっていく上での指標になります。先輩方との交流を通じて、部の歴史や価値観を共有できればと考えています。

岩田:私個人としては、OB/OGが現役幹部に対して上から目線で「ここが駄目」「あれが違う」と一方的に指摘するのは避けたいと思います。ただ、現役学生と、社会人として経験を重ねたOB/OGとでは、知識や人としての成熟度に差があるのも事実です。先輩の声には素直に耳を傾けてもらえたら嬉しい。古巣の発展と成長を願わないOBはいないはずですから。

末松:おっしゃるとおりです。助言はありがたいですが、実際に行動するのは現役です。現役が頑張らないと意味がありません。

岩田:なお、経済的な支援についても先輩方にお願いしたいと考えています。現役側では、収支や財務の状況を見える化し、支援の使い道を納得感のある形でオープンにしてほしいと思います。まずは部の公式ホームページを立ち上げ、活動実績や現況、協賛の募集要項なども掲載します。協賛企業には広告枠(ロゴ掲出等)を用意し、広告費として処理できる形を目指します。個人での支援に加え、協賛企業の拡大も図りたいと考えています。もちろん、それに見合う協賛価値を鹿大拳法部が生み出す活躍を期待しています。最後にOBの皆さまへ、末松君からメッセージをお願いします。

末松:OBの先輩がたが現役を過ごされた鹿大拳法部をこれからもたくさんのいい思い出が残る場にしていきたいと思っています。拳法部をまだ盛り上げてまいりますのでご支援のほど、よろしくお願いします。

岩田:私もそうですが、他のOBの方からも「日本一の演武とはどんな演武か一度見てみたい」という声をよく聞きます。ホームページに演武の映像を一部掲載できると良いですね。適した映像があればご提供いただけますか。これからも一緒に頑張りましょう。本日はありがとうございました。                                                                                                                                                                                   (了)

 

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<地元紙南日本新聞で紹介された先輩たちの軌跡>

地元紙に残る足跡

 鹿児島大学少林寺拳法部は、半世紀を超える歴史の中で、数多くの仲間たちと共に研鑽を積み、その歩みを地元鹿児島の地に刻んできました。その活動や成果は、単なる部活動の枠を越え、地域社会や若き世代への励ましとなり、幾度となく紙面を通じて広く紹介されてきました。ここにご紹介するのは、地元紙「南日本新聞」に掲載された三つの記事です。いずれも、我が部の姿勢と情熱、そして未来への希望を映し出す貴重な記録であり、読む者の胸に熱い思いを呼び起こすことでしょう。

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